特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界in森アーツセンターギャラリー



私がトランプモチーフのアイテムが好きなのは、『仮面ライダー剣』の影響を多大に受けているからですが、アリス好きの影響を初めに受けたのは、実はこの作品かもしれません。

未だに青いバラやそのモチーフのアイテムを見ると、ブルーウィッシュと思うのはこれの影響です。○学生の頃に読んだというのもあるけど、スプリガンと共に他にも色々な影響を受けている。個人的名作。


それはさておき、掲題の特別展に行ってきましたが、人が多すぎて全然ゆっくり見れなかったよ…
サブカル系が多く集う展示と踏んでたけど、いたって普通の若いお嬢さんも多かったな。六本木だからなのかな。あと、お喋りに夢中で全く展示を見ていない人や、平気で展示に触れるような人がいて萎えたってのもあるぞ……幸い作品は額の中にあって、ガラスに守られたので厳密には直接触れられたわけではなかったが……


展示はざっくり言うと、
・作者のルイス・キャロルが生きていた時代(19世紀頃のイギリス・ヴィクトリア朝ら辺)や関係者にまつわる展示
・アリスをモチーフにした映画や舞台など
・アリスモチーフの派生アート
・アリスとファッション
などなど…かな。
とにかく、世界中でアリスがどう取り扱われたか、という展示が多かった。日本人的には、ディズニーのアリスが一番知れてると思うけど、確かに売店のグッズは多めだったけど、展示の中ではディズニーのアリスはちょっと大きいビジョンに映されていたけど、そんなに特別扱いはされておらず、数多あるアリスモチーフの作品の一つに過ぎない、という印象を受けました。逆に私はディズニーのアリスぐらいしか知らなかったので「こんなにあるのか」と衝撃を受けましたね。私が見ていた正解は狭かった。
前半は混みすぎて全然見れなくて飛ばしたけど、アリスをシュールレアリスム的に表現したコーナーはよかったな。サルバドール・ダリが『ふしぎの国のアリス』の挿し絵を描いてたってのが刺さりましたね。公式サイトでちょっと見れます。
あと、マリオン・アドナムスのこの絵。右の2つかなりすき。

昔、国立新美術館シュールレアリスム展観に行った時も良かったと思ったけど、ワイこういうのが好きなのかなぁ。
んでこれ、シュールレアリスムによってかなり抽象化されてると思うんだけど、何故かパッと見でも「アリスっぽい」と思わせるところに、モチーフとしてのアリスという作品の強さを改めて知りました。白と水色はアリスっぽい、黒と赤はハートの女王っぽい…などなど、「連想させる」印象の強さといいますか。と書いていて思ったけど、この色のイメージってやっぱりディズニーのアリスが創り出したものよなぁ。何だかんだでディズニーはつよいのな。


そして今日一番印象に残ったもの。アリスとファッションについての展示ですよ。ここに、ロリータとパンクをモチーフにした展示があるのですが……自分が撮影した写真はイマイチだったので、公式Twitterの力を借りよう(爆)
えっと、一番右のアリス的カラーリングの服はVOGUEの撮影で使った衣装…だったか(詳細忘れた)
で、その隣のトップスとツーピース(この写真だとそうは見えないと思うけどツーピースって書いてあったような)は、ヴィヴィアン・ウエストウッドデザインのもの。で、真ん中2つはオートクチュール
…説明が適当なのは、私が左端の2つの話をしたいからです。
まず水色と白のロリータめいたファッションですが、これはBABY, THE STARS SHINE BRIGHTのものらしい。アリスアンドザパイレーツじゃないんだ。コンセプト違うしそりゃそうか(爆)アリスモチーフやデザインの服は色々出していたような気がしたけど、こんなに水色と白のアリスのイメージを直球で表現した服があったのか…と。
で、もう一つの黒いロリパンクの衣装。私はこのマネキンを見た時、h.naotoかと思ったのです。主にハングリーのポシェットのせいだけど……今は昔に比べるとブイブイ言ってない気がしますが、このジャンルで時代を築いたブランドだしなぁ、と思って、近づいてよく見たら違いました。今は亡きPUTUMAYOのものでした……このトップスを近くでよく見ると「PUTUMAYO」って書いてあるのです。そしてこれも写真が遠いのでわからないけど、ボトムはトランプのチュールスカートなのです。私の思い違いでなければ、下記に載っている黒/シルバーのものを着用しています。
www.laforet.ne.jp
アリスが主人公の作品…特に『ふしぎの国のアリス』はゴスロリ系のファッションにモチーフとして多大な影響を与えていると私は思っているけど、最早瀕死状態なロリパンクファッションを取り上げ、しかも今は亡きブランドを取り上げるとは…!結構テンション低いまま展示を見ていたのですが、ここに来てテンションを取り戻しました。展示の終盤のほうだったけどね…


ここ10年か、数年ぐらいの話になると思いますが、PUTUMAYOALGONQUINSが畳まれた辺りから、この辺りのジャンルのファッションは下火になったと考えています。今や地雷系が近しいファッションかもしれないけど、やっぱりちょっと違うんだよな。どう違うのか、上手く説明できないですが…
ところでゴシック・ロリータ・パンク…この辺のファッションをひっくるめて「コスプレ」と呼称する人たちもいるけど、私は単に非現実的なファッションってだけだと思っている。学校や会社に来ていくと何故かいい顔されないけど、フィクション世界の住人みたいでカッコいい服。そんな非現実的な服を着て現実世界で遊ぶのが楽しいという、そんな服がこのジャンルだと思っています。
っていうか、私はファッションとか、オシャレとか呼ばれているものは、広義でひっくるめれば全部コスプレだと思っている。ギャルのコスプレ、森ガールのコスプレ、デキるOL風のビジネスファッションも、そういうコスプレよ。着たい服を着てその日を楽しむのはファッションもコスプレも同じじゃないですか。だからゴシック・ロリータ・パンクを好む層は全体で見たら少数派かもしれないけど、特定のジャンルが異質なもののように扱われるのは、ちょっと違うと思うんですよ。


そんなもんで、もしあの展示を見た若い子が「ああいう服を着たい」と感じ、そういうジャンルの再興の一手を担ってくれたら幸いだな、と思ったのです。こういうのをきっかけに一つの文化が蘇ったら面白いじゃないですか。
とはいえ…この展示を、もう少し高尚な美術鑑賞の気分で見た気持ちはあったけどね、やっぱり。